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外国人採用・登用セミナー開催報告「外国人採用の課題は日本人社員の課題だった」
外国人採用の課題は日本人社員の課題だった
失敗と成功から学ぼう! 一歩進んだ「外国人の採用・登用セミナー」を2025年11月19日(水)に開催しました。
人材不足が深刻度を増し、外国人を採用している、採用を検討している企業が増えている一方、2027年に改正入管法の施行により育成就労制度が導入されるなど、周辺環境は変化を加速しています。
セミナーでは、綾瀬市の塗装機器メーカーで、社員の8割を外国人が占める株式会社熊井の専務である熊井亮介氏と、かながわ外国人材活用支援ステーション相談員の高橋恵介氏をお招きし、成功事例と失敗の原因を伺いました。
■ 現場の曖昧さをなくし、仕組みを作る
熊井専務からは、「人材活用を成功させるために」と題し、外国人材をいかに現場で戦力にしていくのか、その要諦をお話頂きました。
外国人材が社内で生かせない原因は、言葉の壁ではなく「現場の曖昧さ」にあると語られます。
出典:株式会社熊井
具体的には、ベテラン社員の記憶と経験に頼るなど、暗黙の了解で業務を進めていることが多いと感じており、そのため、情報共有する仕組みがないことが現場を止め、人手不足になっているのではないか、とのことです。
また、外国人が困る会社は日本人も困っている会社とも断じておられました。
人手不足は、人の問題ではなく仕組みの問題であり、仕組みを作り、業務を回していく・・・
株式会社熊井では、社員が業務に集中できる現場にするため、文字情報は、自動翻訳の機能を使うとともに、情報共有を図面や写真、タスク管理の領域まで広げています。
情報共有は、社員が持つスマートフォンを活用しており、情報を全社員で共有することにより、日報作成も、口頭報告も不要とする「仕組み」を作っています。
情報共有には、無料で使える「LINEワークス」と、安価で導入できるタスク管理アプリ「Jooto」など、イニシャルコストの低いものを導入。
更に、CADも2Dから3Dへの切り替えを外国人社員がけん引。この改善で、残業時間が9割減少しています。
熊井専務(左)と高橋相談員
工場長ですら外国人、そして日本語が話せない(本人は話せると思っている(笑))のですが、それでも現場は回るとのこと。
熊井専務は、経営者は「社員に業務を任せる意識」を持つことが、成長につながるとも言われます。
また、複数社員を採用したら別々の職場に配属することで、社員間の競争を促し、成果を出す社員や頑張った社員には、給与アップで応え、モチベーションを更に向上させるようにしています。
■ 「外国人採用の「思い込み」をリセットする30分」
高橋相談員からは、これまでの業務を通じた外国人採用の失敗事例と原因についてお話頂きました。
人材紹介会社に高いお金を払って採用したのだから、日本語が分かる、仕事がすぐに出来ると思っている方が多いが誤りと話されます。
人材紹介は「ゴール」ではなく、あくまで入口。紹介費用も、そのコストだと考える必要があります。
また、定着するか否かは配属後90日で決まるので、単なる業務指導ではなく、社員が安心感や所属感、成長実感を段階的に得られるように工夫が必要とのことです。
失敗の多くは、採用した人にではなく、「完璧に仕事が出来る」といった過剰な期待を抱くなど、前提条件の設計不足に原因があるとも。
出典:Jコンサルティング合同会社
技能実習から特定技能、そして育成就労と制度が変化していく中で、外国人材をフロー型と捉えるより、ストック型と考える必要が出てきています。
特定技能の2号になると、無期限の更新や家族の帯同も可能になります。そういう段階を見据え、帯同してきた子どもへの支援制度が自治体にあるのか調べる必要も出てくるとのことでした。
■質疑応答から
【質問】
外国人も使えるシステムをどうやって社内につくったのでしょうか?
【回答 熊井氏】
外注せずに自分がやりました。でも上手くシステムは作れないし、メンテナンスも大変に。いきついたのは、汎用性の高い安価で使えるサブスクでした。
自分が起点でも、システムの改善は現場の人が一緒にやる体制が大事です。
【質問】
ペーパーレスの仕組みにしても紙資料に戻ってしまいます。対応策は?
【回答 高橋氏】
介護施設のDX化は最難関です。でもこれをけん引するのは外国人。みなスマホが得意なので、入居者への使い方を教えたりもしています。
外国人材をDX化のリーダーにしても良いと思います。
【質問】
CADシステムが日本語表記なのですが、外国人社員は対応できますか。
【回答 熊井氏】
できます。用語は限定的だし、ボタンの位置を覚えちゃえば使えるようになります。
■ご相談
この記事をお読みになって外国人材に関するご相談をご希望の方は横浜市工業会連合会事務局までご連絡ください。
ご登壇頂いたかながわ外国人材活用支援ステーション相談員の高橋様他におつなぎいたします。
執筆 吉田雅彦(市工連)
<了>










